DRMがかかっていて、閲覧や視聴に不自由さを感じている人は少なくありません。そもそも、DRMというのはどのようなシステムなのか、なぜ利用環境によって利用できないのか不思議に思う人もいるでしょう。こちらでは、DRMとは何か、そして解除することに対する違法性の是非や、解除可能なフリーソフトなどについて見ていきます。
DRMとは何?
DRMとはデジタル著作権管理のことで、映画や音楽、電子書籍、テレビ、ゲームなどのデジタルメディアを不正利用や複製できないように制限する技術です。DRM保護がかけられているデジタルメディアは特定のソフトウェアやハードウェアでしか再生することができず、複製もできません。
DRMはこのようなコピーガードの一種ですが、統一された規格はなく、デジタルメディアの種類や販売しているメーカーによって様々なDRMがあります。また、同じ種類であっても、アップグレードすることでこれまでのソフトウェアやハードウェアで対応できなくなる可能性があるため、注意が必要です
なお、DRMは大きく分けて2つのタイプがあり、それぞれに役割があります。一つは複製を制限するコピーコントロールで、映画や音楽などのデジタルメディアの複製を防ぐものや、地上デジタル放送のダビング10のように、複製の回数を制限するものなどです。
一方、アクセスコントロールはアクセス制御のことで、コンテンツを暗号化して視聴できなくする技術です。デジタルメディアが一部のプレーヤーでしか再生できないケースなどがこれに該当します。
DRMを解除する違法性の是非
DRM保護がかかったままでは使い勝手が悪いという意見もあり、解除するためのソフトが多数で回っています。しかし、元々保護されているものを解除するのが違法行為に該当するのではないかと不安に感じる人も少なくありません。
違法性の是非について言えば、アクセスコントロールを回避して所定のソフトウェアやハードウェアなしに視聴等ができるようにする行為は違法ではありません。しかし、コピーコントロールを回避すること、そしてDRMがかかっているメディアを複製することは違法行為になりますので注意しましょう。
つまり、コピーコントロールがかかっているデジタルメディアの場合、複製はもちろん解除自体が違法行為です。一方、アクセスコントロールがかかっているデジタルメディアは、解除するだけならば違法ではありませんが、解除後に複製を作れば違法行為になります。
加えて、アクセスコントロール、コピーコントロールいずれも解除できるソフトを配布する行為も違法です。そのため、DRMの解除ができるソフトは海外サイトでしか入手することができません。
なお、DRMの解除は著作権法違反となりますが、親告罪なので権利者から告訴されなければ刑事罰にはなりません。しかし、解除後に複製を販売したり、動画投稿サイトなどに公開したりしたときは、損害賠償請求される可能性が生じます。
DRMを解除するフリーソフト5選
DRMにも様々な種類がありますので、全てに対応している多機能ソフトは存在しません。しかし、種類を区切って言えば、一部のDRMを解除できるフリーソフトがあります。ただし、ほとんどが海外製なので海外サイトからダウンロードすることになりますし、日本語にも対応していません。また、フリーソフトはアップデートせずに放置されているものや、突然ダウンロードできなくなるものもあります。これらに納得した上で、どのようなソフトがあるのか見ていきましょう。
Calibre
写真引用元:https://vessoftstatic.com/
Calibreはパソコンに保存した電子書籍の編集や管理ができる電子書籍ソフトウェアです。kindleやkoboなどの一部の電子書籍のDRMを解除して、他のフォーマットに変換することができますが、プラグイン形式なので変換するフォーマット用のプラグインを別途ダウンロード、インストールしなければなりません。また、すべての電子書籍に対応しているわけではありませんし、kindle PC 1.25以降のバージョンではDRM解除ができないようになっています。
Calibreは最初の使い方がかなり複雑です。ソフトをダウンロード・インストールした後、設定の項目でプラグインを読み込む必要があります。いったんソフトを終了させて再起動した後、DRM保護がかけられている電子書籍を読み込めば、別形式への変換や保存が可能です。初期設定が面倒なこと、必要なプラグインが分かりにくいこと、今後DRMのアップグレードで利用できなくなる可能性があることなどが懸念事項ですが、初期の設定を終えた後は使い勝手がよくなります。
Requiem
Requiemは、iTunes DRMを解除するためのソフトです。iTunesストアで購入したM4P音楽やM4V動画、Epub形式の電子書籍などApple関連のDRMに有効ですが、iTunes 10.7以降のバージョンでは解除することができません。このソフトはiTunesストア経由のファイルに限定されてはいるものの、対象となるファイルが動画や音楽、電子書籍など様々なジャンルになっていますので、いろいろなソフトを用意する必要がない点が便利です。また、WindowsとMac PCどちらのOSにも対応していますので、作業がしやすいという利点もあります。
Requiemを使えば、Apple以外のデバイスでもデジタルメディアが再生できるようになりますので、ハードディスクやデバイスを変更した時などには重宝します。もちろんファイル形式を変換した場合でも、オリジナルのファイルと同品質のメディアとして出力することが可能です。
一方で、アップグレードしたDRMやMacのOSでは使うことができないため、注意が必要です。
myFairTunes
myFairTunesはiTunes音楽のmp4ファイルからDRMを解除し、他のフォーマットに変換・保存できるソフトです。こちらはバージョンに関係なくMacのOSのパソコンでは使うことができず、Windowsパソコンのみで動作します。また、AppleMusicやiTunesオーディオブック、動画などのファイルからDRM解除をしたり、他の形式に変換したりすることはできません。
myFairTunesのアップデートは停止しており、2009年以前のiTunes音楽の変換に用途を限定していますが、操作性が良く、サイズも小さいので該当するファイルを大量に保存している人に便利です。対応しているバージョンはiTunes 7.0.5までです。
Renee Audio Tools
写真引用元:https://freesoft-100.com/
Renee Audio ToolsはWindows専用のオーディオ編集ソフトです。音楽ファイルの編集機能だけでなく音声録音機能も搭載しており、録音機能を活用すればApple MusicのDRM保護を解除することができます。この場合、Apple Musicの曲を再生しながら録音する方法のため、解除に要する時間が他のソフトよりも長くなります。様々な出力形式がありますし、音楽の一部をトリミングしたりタグ編集したりできますので、何かと重宝するフリーソフトです。
Spotify Music Converter
Spotify Music Converterは、世界最大規模の音楽ストリーミングサービスであるSpotifyの曲に対し、DRMを解除して同品質のmp3やm4a、wav、flacファイルなどに変換するソフトです。多機能な有料版では10倍速の変換やCDの作成など様々なことができるようになりますが、無料版でもアルバムのプレイリストなど、曲の情報や高音質をそのままに変換することができます。
使い勝手の良いソフトですが、無料版はWindowsパソコンしか使うことができません。また、他の音源ファイルを変換することもできませんので、Spotifyを利用している人におすすめのソフトと言えます。
まとめ
このように、一部のDRMに対してではありますが、解除が可能なフリーソフトはいくつかあります。DRMのバージョンが上がると解除できないこともありますが、フリーソフト側でアップデートがされることもあるため、試してみる価値はあると言えるでしょう。無料で使えるので、DRMが本当に解除できるのか挑戦しやすいという利点もあります。
AmazonやNetflix、U-NEXTなどDRMがかかった動画配信サービスから動画をダウンロードするならstreamfabを利用してください。